定年後のインサイト

定年後、いわゆるアフター60の市場開拓は日本のアジェンダ。ところが、彼らの生態を知る動きは鈍い。何故なら、分析者が市場を退出してしまうから。同年代の筆者が、マーケッター歴30年の知見を活かし、アフター60のインサイトに迫る

アフター60のインサイト④ 「重力が重たい」

アフター60のインサイトと言うべきか、身体感覚の話だが、

重力に負けている」というのはある。

 

若い頃に気づかなかった地球の重力の重さを強烈に自覚し始めるのだ

 

「階段を上るのがこんなにつらかったのか。」と言うのは、よくある発言だ。

 

気をつけているんだけど、いつの間にか背中が丸まってるのを反省したり、

 

風呂上がりに洗面所の鏡で、胸の筋肉が垂れさがっているのを見てがっかりしてしまう。

 

このように日常の些細な気づきで、随所に地球の重力と自分の力の衰えを自覚してしまうのだ。

 

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アフター60のインサイト③ 「我慢耐性の劣化」

あなたもぶつぶつと独り言を言っている老人を見たことがあるだろう

 

僕もその年代になってきたのか、路上や車内で独り言を言うことがある。

 

日常、不満や不快に思うことは人それぞれあると思うが、

それを極めて利己的な視点でぶつぶつと口に出してしまうのだ。

 

いっぱしの大人は、そんな場面に遭遇すると、

他者の手前、ぐっとこらえるものだが、

 

老人になると、我慢できなくなるのだ

 

身体的に色々な箇所で我慢弱くなるのはしようがないが、

精神的にもそんな傾向が出始める

 

自分でもみっともないことと思いつつ、

遂々そうなりがちなのは、

吐き出してしまえばすっきりするからだ。

 

発散は人間の生理なのだろう。

 

 

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アフター60のインサイト② 「ささやかなご褒美」

「現役時代はできなかったが、

これだけ働いてきたんだからいいだろう。」

 

と心の中で呟いて、

 

昼飯にビールを付けたり=いわゆる昼飲み

午後のおやつに、喫茶店に行って800円くらいのケーキセットを頼んだり

甘いもの好き

5時から近所の中華屋で飲み始めたり=早飲み

 

という傾向が

アフター60にはある。

 

それも、「ささやかなご褒美」を免罪符にして

何回も繰り返すのだ。

 

何だ、ご褒美は食い物ばかりじゃないかというなかれ。

 

飯は生きる基本だからなあ。

 

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アフター60のインサイト① 「生き急ぐ」

アフター60、特に、団塊の世代インサイトとして

生き急ぐ』というのはある。

 

健康年齢が漠然と75歳までというのを知っている彼らは、

いわゆるリア充」を満喫しようと無意識に思っている。

 

 ※「リア充」=実際の現実の生活(リアル生活)が充実している人のこと

 

脳が、

いいなあ、生きてて良かった。

ああっ、今この瞬間が充実している

を求めて彷徨っているのです。

 

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何故、定年後=アフター60か

人口1億2700万の国日本。

1年単位でみれば、人口がぐんぐん減るわけではなく、ざっくり言えばステイだ。

マーケティング上、ことさら悲観する必要はない。

 

着目すべきは、むしろ世代の構造変化だ。

人口ピラミッドが正三角形から逆正三角形の国へ

 

その時マーケティングをどう変えるか。

2020年に当然市場の三分の一(34%)を占めるアフター60へのアプローチが鍵になる。

 

そのマーケットが掘り起こされているのかというとまだまだだ。

介護、健康食品、旅行関連など、一部業界は先行しているものの、

本格的に手をつけてない業界は数多い。

 

その理由は、ほとんどのメーカーやサービス事業者が

ビフォア60人材で構成されているため、アフター60のインサイトがわからないからだ。

 

                

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